2009年6月の記事一覧

2009/06
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未利用魚を使って、食について考える。

Posted on 2009年6月24日 by omi

東京に来てます!
北海道で漁師をさせてもらって気づいたことは、たくさんあるけど、生産者と消費者の距離を感じたのもそのひとつ。

それは農家も一緒だけど、「作り手」(生産者)は「食べ手」(消費者)の顔が見えていない。。。
最近、スーパーなどでも、生産者の顔が見える!をキャッチフレーズに生産者の顔写真入りの商品とかも販売しているが、それだけでは、「食べ手」は「作り手」の顔が見えても「作り手」は「食べ手」の顔が見ることができない。。。

漁師(生産者)で産直販売を始めて、直接消費者の顔が見えた時、とてもうれしかった!
この人(消費者)の「美味しかった!」の声が聞きたいからまた頑張ろう!と思えたし、生産者になってよかった!と心からそう思えた。

生産者としての自信、そして誇りはたぶんこんなことから生まれる。

昨今、問題視される「食の安全問題」作り手が食べ手の顔を想い浮かべて作物を作れば「偽装」など起こる訳がない!食品の表示義務を強化することも確かに大切だ。
でも、根本からの意識改革なしに、この問題は解決しない。。。

7/7に東京銀座であるイベントを行うことになった。どんなイベントかというと、「作り手」「食べ手」の両方がお互いの顔を見れる交流のイベントだ。

今日はそのお願いに来た。会場は、キリンシティ銀座店。料理担当の田辺さんと打ち合わせをしてきた。

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交流で使う魚は、未利用魚の「ネカジカ」。

未利用魚を使う理由は、新たな商品開発の他にもあった。それは、流通していない魚を使えば、もっとこの活動が広がるかも!ってこと。

私が生産者だった時に始めた企画、つまり、消費者に生産者が出向き、そこで生産品を材料にして、消費者と生産者が交流する企画だけど、特定の生産者を引き抜いて行うのではなく、もっと全体のこととして、展開できないか。。。

従来、生産者が消費者と直接結びつくということは、複雑化した流通体系の中でタブーの域も正直あった。だから、農協や漁協との位置関係も若干微妙であった。
でも、生産者が自信と誇りを持って、産品を生産していくために、そして食の安全につながるために、このような取組みが必要であれば、それを展開していく枠組みを農協、漁協との連携にまで広げたい!

だから、現在流通していない「さかな」を利用することが効果的だと思ったのだ。

また、長文のブログだ。。。

なんで、漁協と農協をそこまで大事に思うか?きっと不思議に思う方もいるかと思う。

命の糧「食」に携わる産業、つまり、農業、漁業が工業製品を生産するような産業であるなら、協同組合は不要かもしれない。。。

でも、この産業、そしてその背景にある自然相手という環境を良く考えてほしい!
私も漁師をしていて、何度も痛感したが、自然は人知を遥かに超えている。
自然は冷酷であり、残酷だ。どんなに努力しても、簡単に人間の努力を無意味のものに変えてしまう。

人間は小さな存在。

農業、漁業をしているとそれが良くわかる。
だから、互いに助け合っていかなければならないし、支え合って行かなければならない。

協同組合の設立の意味はそこが大きくある。だから、確実に残していかなければならない。

生産者が消費者と触れ合う大切さは、生産者を取りまとめる協同組合にとっても重要な意味を持つ。

7/7は、協同組合の職員も同行してもらえるように準備している。

なにかが動き出すことを信じて。

2009/06
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美唄にて。

Posted on 2009年6月14日 by omi

札幌から汽車で北に40分。「美唄」という所に行ってきました。 前日夕食をご一緒した(財)北海道文化財団の磯田憲一 さんに 「ぜひ、参考になるから!」とオススメいただいた場所 「アルテピアッツァ 美唄」

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閉山になった炭坑の学校跡地に地元出身の 彫刻家安田侃氏によって作られている芸術広場。

旧体育館を改装したアートスペース(写真上)

古い木造校舎の2階部分は、当時の面影そのままで ギャラリーになっている。(写真下)

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長い時の流れを見つめてきたこの場所は、 自分を見つめ直すには、絶好の場所だ。

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ぜひ、また来たい!

教えてくれた磯田さんに感謝!

2009/06
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思いやりに満ちた社会④

Posted on 2009年6月1日 by omi

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この写真は昨年10月のもの。

大阪の府立高校の生徒が修学旅行で「うらほろ」町にやってきた。

その時の様子は、こちらの動画から>>>

来年度から本格実施のこの都会の子どもたちの受け入れ。

従来のイベント的な「たのしい」「おもしろい」だけの 一過性の修学旅行だとは考えていない。

望むのは、このことをきっかけとした都会の子どもへの 「気づき」の場の提供だ。

大阪は、食料自給率2%。
つまり、他の地域から食料が運ばれてこれるから、この地域での 生活が成り立っている訳だ。
他の地域からの食料の流れが万が一ストップしたら。。。

人が集まり、情報が集中し、この国をひっぱっていく、都会。 でもその大都会である「東京」や「大阪」は、そこだけが持っている 力だけでは成り立たない。生きて行く上で欠かせない「食」。 そこは間違いなく他の地域からの支えがあるから、成り立っている。 いままでは、食料の大半は、海外から入ってきた。
でも、最近問題視されている世界的な食料危機問題。 今後も安定して海外からの食料の供給が保障されている訳ではない。

昨今の隣国「中国」の食の問題が起きたことで、安心安全なものへの こだわりは、多くの消費者の心に響いている。
同時に今、この国が真剣に考えなければならないのが、 自国である程度の食をまかなうこと。
つまり、自給率アップとうことだ。 とくに、さらに自給率が低い都会の人たちは、より真面目に 考えてほしいことだ。

この国がカロリーベースで自給率40%。 つまり、海外からの輸入がストップしたら、餓死するものが出てしまう ことになる。
大阪2%は、どんなに深刻なことか。。。。

でもだからと言って、都会に食料の生産機能を持たすというのは、 ナンセンスなこと。都会(都市)には、都市の機能と役割があり、 食料を生産する農山漁村には、農山漁村の機能と役割がある。 お互いの役割をきちんと認識して、互いの足りないものを補い 合ってゆけば良いのだ。

都市と農山漁村が互いを認め合い、思いやり、支え合う社会が この国の未来の形になってほしい!

話は、大阪の高校修学旅行に戻る。

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上の写真は、高校生が浦幌町長の水澤さんに「寄付金」を贈呈して いるところ。

「寄付金」???

実は、この修学旅行の前に高校で行われた学園祭であることをした。

それは、うらほろの農作物を送って、子どもたちに販売してもらったのだ。

自分たちにとってもかけがえのない町に愛着を持ってほしいという 目的で行った。その売上金を「自分たちにとってもかけがえのない町の 発展のために使ってほしい!」そのメッセージとともに、町長へ 売上金が寄付された。

どこまで子どもたちに本質的なことが伝わったかは、分からないけど、 そんな想いを込めて、学園祭で表現させてもらった。

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「うらほろ」には、海もある。 写真は、漁師が秋鮭の解体をしている所を見学しているところ。

「いくらだ、いくらだ!!」

「血がいっぱい。。。。」

食の生産現場は、他の生き物の生命を奪う場でもある。

「いただきます!」その意味をきっと感じてもらえたことと思う。

「おっちゃん、ありがとう!」

「おっちゃんたちがいるから、うちら、大阪にいても美味しい  鮭が食べれるし。」

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漁港で最後に撮った写真。

「おっちゃん、ありがとう!」

普段聞かない食べ手からの感謝の言葉にきっと漁師たちも うれしい気持ちになったことと思う。

食の安心安全につながる生産者の意識はこういう瞬間に 感じる「気づき」の積み重ねにあると実感した。

来年からの本格実施。

都市と農山漁村の新しいパートナーシップを築くための きっかけと考える修学旅行を取っ掛かりとしたこの取り組みは、 次年度からスタートする!

未来のために、いまできること。

我々大人にできることの、はじめの一歩だと思っている。

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